今回は、GT-1000をMac Studio M4 Maxに接続して、Logic Proで録音・リアンプするまでの手順をブログ記事にまとめる。
単なる操作マニュアルではなく、実際につまずいた点と解決方法を中心にする。特に、Mac側の外部スピーカーから音を出しながらリアンプする方法は、同じ環境の人に役立つはず。
BOSS GT-1000をMacにUSB接続して、Logic Proでギターを録音する。
一見簡単そうだが、実際にやってみると意外と設定することが多かった。
今回やりたかったのは、次の4つ。
- GT-1000のエフェクト音をLogic Proで録音する。
- エフェクトをかけていないギターの生音(DI)も同時に録音する。
- 録音した生音をGT-1000に戻して、別のエフェクトでリアンプする。
- 録音中も再生中も、Macにつないだ外部スピーカーから音を出す。
最終的にはすべて実現できたので、設定方法とつまずいたところをまとめておく。
使用環境
| 機材・ソフト | 内容 |
|---|---|
| Mac | Mac Studio M4 Max |
| OS | macOS |
| DAW | Logic Pro(Mac用買い切り版) |
| マルチエフェクター | BOSS GT-1000 |
| 接続 | USBケーブル |
| モニター環境 | Macのヘッドフォン端子に接続した外部スピーカー |
| 設定ソフト | BOSS TONE STUDIO |
GT-1000はUSBオーディオインターフェースとして使えるので、Macとの間で音声の入出力ができる。
今回は別途オーディオインターフェースを用意せず、GT-1000を直接Macに接続した。
1. GT-1000をUSB接続してLogic Proで録音する
まず、GT-1000をUSBケーブルでMacに接続する。
Logic Proを起動し、メニューから「Logic Pro → 設定 → オーディオ → デバイス」を開く。
最初は次の設定にする。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 入力デバイス | GT-1000 |
| 出力デバイス | 外部ヘッドフォン |
| I/Oバッファサイズ | 128サンプル |
ここでいう「外部ヘッドフォン」は、Macのヘッドフォン端子に接続しているスピーカーのこと。
Logic Proで新しいオーディオトラックを作成し、GT-1000の入力チャンネルを指定する。
トラックの「R」をオンにすると録音待機、「I」をオンにすると入力モニタリングが有効になる。
ギターを弾いてレベルメーターが動いていれば、Macへの入力はできている。
入力されているのに音が出ない場合
今回、最初につまずいたのがここだった。
ギターを弾くとLogic Proのレベルメーターは動く。しかし、スピーカーから音が出ない。
この場合は、以下を確認する。
- Logic Proの出力デバイスが正しいか。
- トラックの入力モニタリング「I」がオンになっているか。
- トラックやStereo Outがミュートされていないか。
- ソフトウェアモニタリングが有効になっているか。
入力デバイスをGT-1000にしていても、出力デバイスまでGT-1000になっていると、Mac側の外部スピーカーからは音が出ない。
入力と出力は別々に考える必要がある。
2. 録音済みの音と演奏中の音を同時に聴く
Logic Proでは、トラックの「I」をオンにするとギターの演奏音が聞こえるが、同じトラックに録音済みの音が再生されなくなることがある。
逆に「I」をオフにすると録音済みの音は聞こえるものの、演奏中のギターが聞こえない。
これを解決するには、トラックを分ければいい。
| トラック | 用途 | 入力モニタリング |
|---|---|---|
| トラック1 | 録音済みの演奏を再生 | OFF |
| トラック2 | 新しい演奏を録音 | ON |
これで、録音済みのギターを聴きながら新たにギターを重ねられる。
いわゆるオーバーダビングだ。
3. エフェクト音と生音(DI)を同時録音する
GT-1000では、エフェクトを通した音と、エフェクトを通していない生音をUSB経由で同時に録音できる。
これができると、録音時のエフェクト音を残しつつ、あとから別の音作りを試せる。
GT-1000のファームウェアVer.1.20以降では、基本的に次の割り当てになる。
| Logic Proの入力 | 録音する音 |
|---|---|
| Input 1–2 | エフェクト音 |
| Input 3–4 | 生音(DI) |
※ GT-1000のファームウェアによってチャンネルの割り当てが異なる場合がある。
Logic Proで2つのオーディオトラックを作り、それぞれに入力チャンネルを割り当てる。
両方の「R」をオンにして録音すれば、1回の演奏でエフェクト音と生音を別々のトラックに記録できる。
生音側は入力モニタリングをオフにしておくと、演奏中に生音とエフェクト音が重なって聞こえるのを防げる。
4. 録音した生音をGT-1000でリアンプする
ここからが今回の本題。
リアンプとは、録音済みのギターの生音をアンプやエフェクターに送り直し、別の音色で録音し直すこと。
例えば、クリーンで録音した演奏をあとからディストーションに変更したり、アンプやエフェクトの設定を変えて何度も録り直したりできる。
演奏をやり直す必要がないのが便利なところだ。
今回はGT-1000のUSB接続を使ってリアンプする。
まずMacで「機器セット」を作成する
通常、Logic ProからGT-1000に音声を送るには、出力デバイスをGT-1000にする。
ただし、そうするとMac側の外部スピーカーから音が出なくなってしまう。
そこで、macOSの「Audio MIDI設定」を使う。
- 「Audio MIDI設定」を起動する。
- 左下の「+」をクリックする。
- 「機器セットを作成」を選択する。
- 「外部ヘッドフォン」と「GT-1000」にチェックを入れる。
今回の構成では、外部ヘッドフォンを先、GT-1000を後に配置した。
この結果、次のようなチャンネル割り当てになった。
| 機器セットの出力 | 接続先 |
|---|---|
| Output 1–2 | Macの外部スピーカー |
| Output 3–8 | GT-1000 |
クロックソースはGT-1000を選び、外部ヘッドフォン側のドリフト補正を有効にする構成が基本となる。
機器セットを作成したら、Logic Proの「設定 → オーディオ」で入力・出力デバイスに機器セットを指定する。
環境によっては、出力デバイスを機器セットに変更すると、入力デバイスも自動的に機器セットへ変更される。
今回もそうだったが、機器セットにGT-1000の入力が含まれているため、そのまま使用できた。
Logic Proの出力チャンネルを設定する
今回の環境では、機器セットの最初の2チャンネルが外部スピーカーに割り当てられている。
そのため、通常の再生音はOutput 1–2に送る。
一方、リアンプ用の生音はGT-1000に送る必要がある。
GT-1000のUSB Output 3–4に対応するのは、今回の機器セットではOutput 5–6になる。
つまり、リアンプ用のトラックだけOutput 5–6に変更する。
この番号は機器セットに含めたデバイスの順番によって変わるため、自分の環境に合わせて確認する必要がある。
5. BOSS TONE STUDIOでUSB設定を確認する
Logic Pro側の設定が済んだら、GT-1000のUSBオーディオ設定を確認する。
BOSS TONE STUDIOを開き、「MENU → USB SETTING」を選択する。
今回の設定は以下のとおり。
| 設定 | 設定値 |
|---|---|
| DRY: OUT | 100% |
| DRY: TO EFX | 100% |
| MAIN: EFX OUT | 100% |
| MAIN: MIX LEVEL | 100% |
| MAIN: DIRECT MONITOR | ON |
| SUB: EFX OUT | 100% |
| SUB: MIX LEVEL | 100% |
| SUB: DIRECT MONITOR | ON |
特に重要なのは「DRY: TO EFX」。
GT-1000のUSB DRYチャンネルに送られた音声は、エフェクトチェインの先頭に戻される。つまり、録音済みの生音にGT-1000のエフェクトをかけられる仕組みになっている。
今回、この項目は最初から100%になっていたので、変更する必要はなかった。
BOSSのパラメーターガイドでも、MAIN・SUB・DRYの3系統のUSBオーディオ入出力が説明されている。Roland
6. Logic Proでリアンプする
今回は最終的に4つのトラックを使用した。
| トラック | 内容 | 出力 |
|---|---|---|
| 1 | 最初に録音したトラック | Stereo Out |
| 2 | エフェクト音 | Stereo Out |
| 3 | 生音(DI) | Output 5–6 |
| 4 | リアンプ後の音 | Stereo Out |
トラック4は新しく作成し、入力をInput 1–2に設定する。
リアンプの手順は次のとおり。
- トラック1と2をミュートする。
- トラック3の出力をOutput 5–6にする。
- トラック4の入力をInput 1–2にする。
- トラック4の録音待機「R」をオンにする。
- GT-1000で使用したいパッチを選択する。
- Logic Proで録音を開始する。
これで、トラック3の生音がGT-1000に送られ、選択したパッチで加工された音がトラック4に録音される。
USB接続だけでリアンプできるので、オーディオケーブルをつなぎ直す必要はない。
なお、リアンプ用のトラック4の出力をOutput 5–6にしてはいけない。GT-1000に戻った音が再びGT-1000へ送られ、フィードバックが発生するおそれがある。
トラック4の出力はStereo Outにしておく。
BOSS公式のリアンプ手順でも、GT-1000 Ver.1.20以降では、DRYへの出力に3–4、加工済み音声の入力に1–2を使用するよう指定されている。Roland Support
7. リアンプはできたのに、生音を再生できない
最後につまずいたのがこれ。
リアンプそのものは成功した。しかし、トラック3に録音した生音だけを再生しようとしても、Macのスピーカーから音が出ない。
原因は、トラック3の出力先をリアンプ用のOutput 5–6にしたままだったこと。
Output 5–6はGT-1000に送るためのチャンネルなので、Mac側の外部スピーカーには音が送られない。
生音だけを確認したい場合は、トラック3の出力をStereo Outに戻せばいい。
| やりたいこと | トラック3の出力先 |
|---|---|
| 生音を聴く | Stereo Out |
| GT-1000でリアンプする | Output 5–6 |
これで解決した。
頻繁にリアンプする場合は、生音のトラックを複製し、試聴用とリアンプ用に分けておくと便利そうだ。
8. その他、今回つまずいたこと
録音した音が小さい
最初の録音では、波形がかなり小さかった。
録音時の音量は、Logic Proのトラックフェーダーではなく、GT-1000から送られてくる信号レベルに影響される。
そのため、GT-1000側のパッチレベルやUSB出力設定、Logic Proの入力チャンネルを確認する必要がある。
録音時は、強く弾いたときにピークが-12〜-6dB程度に収まるようにすると、余裕を持って録音できる。
再生しても音が出ない
機器セットの設定を変更したあと、再生音が出なくなったこともあった。
Logic Proのミキサーを確認すると、Stereo Outのレベルメーターは動いている。
出力先の問題だと思って調べていたが、実際の原因はトラックのミュート(M)がオンになっていたことだった。
基本的なことだが、音が出ないときは最初にミュート状態を確認した方が早い。
再生だけではリアンプ音は録音されない
リアンプ中にGT-1000から加工済みの音が戻ってきても、Logic Proの再生ボタンを押すだけでは録音されない。
リアンプ録音用トラックの「R」をオンにし、Logic Proの録音ボタンを押す必要がある。
また、録音用トラックのレベルメーターが動いていれば、少なくともLogic Proまでは音声が戻ってきていることが確認できる。
まとめ
今回の作業で、GT-1000とLogic Proを使った録音環境が整った。
できるようになったのは、エフェクト音と生音の同時録音、録音済みの演奏へのオーバーダビング、GT-1000によるリアンプ、そしてMac側の外部スピーカーを使ったモニタリング。
設定が複雑になった最大の理由は、Logic Proの音声をMacの外部スピーカーとGT-1000の両方に振り分ける必要があったことだと思う。
macOSの「機器セット」を使うことで、USBケーブルをつなぎ直さずに実現できた。
個人的には、生音を残しておけるようになったのが大きい。
ギターを録音したあとで「やっぱりアンプを変えたい」「もう少し歪みを抑えたい」と思っても、演奏を録り直さずに試せる。
GT-1000のパッチを変更するだけで同じ演奏を何度も比較できるので、今後の音作りにも活用できそうだ。
