『マンガ自営業の老後』メモ。フリーランスにまともな「老後」はくるのか。

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昨年4月に出て話題になった本で、今頃ですがレビューというかメモめいたものを。
マンガなので読みやすいく、反面教師的に危機感を覚えるのには非常に良いです。

本著の著者上田忽子氏は最盛期は1,000万くらい稼いでいたものの、年金を一度も払っておらず(!)、ガス代滞納、通販で買っても未払で催促状が届き、確定申告も何度も遅れるなど、仕事はできるけど、それ以外が致命的にダメなタイプ。

竹熊健太郎『フリーランス、40代の壁』でも、40歳あたりからフリーランスは厳しくなるとあるように、本著の著者上田忽子氏もちょうど40歳で乳がんで入院、復帰するも仕事が減ってて収入が1/3以下に。
将来に不安を覚え鬱状態になっていた折りに、本書の企画が来ました。

節税の仕方や家を買うとき(持ち家&賃貸収入目的)のアドバイスがあり、その辺を勉強できるのはメリット。ただ、子なし夫妻なので、教育費などの話はありません。
『10分でわかる得する年金のもらい方』の著者田中章二氏による年金や保険のアドバイスや、著者が家をもう一軒買いたいというので、不動産コンサルタントの長谷川高氏のアドバイスもあります。

以下、メモ的に本書の内容をご紹介。

フリーランスの筆者の収入や本書を通した変化

25歳から独立、28年フリー。53歳。
自営業の夫(専門学校で講師もしている)と持ち家に住む。子なし。
38歳頃は杉並区の135,000円の3DKに住んでいたが、古い借家で風呂場にシロアリが大量発生するような家だった。
2001年頃、頭金2,000万で5,880万円(返済期間35年)の家を買う。13年でローン全額返済。ローンを機に事実婚だった夫と結婚。

最盛期は月16〜17本レギュラー、月に〆切が25本。
仕事は断らない主義で、〆切厳守。「下品系・かわいい学習系 なんでもかいた」。
40歳までは「そこそこの年収をキープしてた」(1000万ほど、収入=売上と思われる)
40歳(2003年)の時、悪性乳ガンで入院・手術。抗がん剤ホルモン治療を受ける(ガン保険が330万おりた)。
一年弱で復帰するも、仕事がこない。それまで1,000万あった年収も病気で500万を切る。
さらに47歳頃から徐々に仕事が減り、年収が半分に、通帳も全部カラに。
50歳で収入が1/3になる(とはいえ2014年にローン完済)。

それまで
・年金保険 14,184円/月
・養老保険 16,265円/月
・こくみん共済 5,200円/月
・終身保険 300万円
という契約をしていたが、本書を通して終身保険以外は解約。
・国民年金 16,200円/月
・小規模企業共済(満額) 70,000円/月
・付加年金 400円/月
・確定拠出年金 30,000円/月
・都民共済「入院保証型」 2,000円/月
に変更。

本書に出てくる人その1:フリーランスのデザイナー 加藤さん

デザイナー加藤さん(36歳・女性)。夫は会社員、二児の母。
24歳から50万円を運用、貯蓄型生命保険にも加入と金融リテラシーがある方。

貯蓄型生命保険(個人):800,000円(年額。月約6.6万)
養老保険(個人):400,000円(年額。月3.3万)
確定拠出年金:68,000円(月額)
小規模共済(満額):70,000円(月額)
SBI証券の積み立て投資信託:10,000円(月額)

夫が会社員とはいえ、月24.8万も貯蓄にまわしている強者。。。
結婚してるとはいえ、これだけ貯蓄にまわせるって、収入どんだけ。。。自営業より、法人成りした方が節税になりそうな気がします。

本書に出てくる人その2:フリーランスのライター 佐竹さん

ライター佐竹さん(65歳・男性)バツイチ独身。
家は知り合いから無償で借りてる(が、あと一年で出て行くことに)
年金5万+バイト月7、8万。
いいとこの息子で、立教大学卒(学生運動してた)。親のコネで労働金庫へ就職、25歳で結婚、33歳で失職、37歳で離婚・独立。
独立した頃がバブル期で筆一本で食えたが、6年後、仕事激減。自分の企画した本で持ち直す。
現状はジムに通うなど健康的で、質素な生活をしていますが、たぶんこの人は詰みます。生活保護まっしぐらもしくは実家に戻る系。
細かい生活費が紹介されているので、その辺が参考になる?かも。

本書に出てくる人その3:個人事業主の居酒屋 山本さん

もつ焼山本 山本さん(80歳・女性)。旦那さんは死去。
26歳で肉屋を営んでいた男性と結婚、42歳に渋谷に焼き鳥屋を開店。
46歳で中野区の肉屋を「もつ焼山本」に改装。鉄筋コンクリートのビルで四階建てで一階が店。
年金は一ヶ月に33,500円(!!)。持ち家なので家賃はナシ、食費は息子一家が出してくれT別途息子から毎月5万円もらってる。
月83,500円だが、店の収入などは不明。

フリーランスの老後への備え方

まあ当たり前なんですが、手持ちの資産を計算しましょう。収入と支出を年単位で出して、老後いくらつかうから、いくら必要なのかを計算する。「財産目録」を作る。
1.預金、株、保険等−借金=純資産
2.短期の収支を出す。月毎の収支×12ヶ月=年。
3.老後どうしたいか。生活費は現役時代の7割はかかる。
4.90までの収支を予測。ざっくりでいい。

家を買いたいフリーランスはどうすべきか

家を買う時は、3期分の確定申告書との居税証明書が必要。
経費計上を減らして、所得を増やした方がいい。
確定申告書の所得金額(収入金額ではない)が、借入金額の1/4〜1/5は欲しい。
(2000万借りるなら400〜500万、4000万なら800〜1000万)。

まとめ

小規模共済は僕も入っていますが、長くフリーランスやる人はガチで入った方がいいです。あと都民共済も入院時などに非常に助かりました。
自営業同士でも、結婚してるとローン組みやすかったり、強いのね。。。
著者が家買うくらい収入があるのに年金未納だったせいもあるのか、Amazonのレビューも荒れてます。実際「コラム3」で

身近でも(そして老人じゃなくても)しんどいフリーランスの話はよく耳にする。
「仕事の依頼が無くなって廃業し会社員になった」というのはまだいいほうで、あんなに売れていたあの人が、蓄えてなくて50すぎて生活保護をもらっているらしい、家賃が払えなくなって、廃業して地方の実家に帰ったらしいとか、悲しい噂もちらほら。

「なんとかならなかった自営業」の例は事欠かないので、「備えてなかったのになんとかなってるラッキーな例」を取材したくなった。
しかし、なんとかなった例はかなり少なかった。

とあるように、いかんせん極端な例ばかりで、たしかに「読み物」としてはインパクトがあって面白いものの、なんだかなぁという気はします。ただ、たしかに出版関係での悲惨な老後話はぱっと考えても5、6人は出てくるくらい、よく耳にします。。。

もうちょっと無難で平均的な例を見てみたいんですが、平均的=同じようになるから、本的には面白くないのかも。

最後に

読んだ当時の感想を。

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