コロナ雑感

カテゴリー その他

鎖で繋がれたかのような閉塞感に満ちた、憂鬱な四月が過ぎた。
緊急事態宣言もあり、異様に重い卯月だった。

どうにもやるせない。3.11の時でさえ、ここまでの閉塞感はなかったように思う。たしかに余震で脅えていたし、未だにベクレルがどうのというのがわからないくらいには、情報もある程度シャットアウトしていた。しかしコロナはどうにもイシューが多すぎ、かつ、いちいち反応せざるを得ないというか、「それはおかしいだろ」という事が多い。

今、自分が感じていることをきちんと残しておきたい。

以下は当然ながらただの素人の憶測であり、「感想」に近いものだ。 調べれば答えが出てくるものもあるだろうが、なかなかキリがない。
ニュース記事を漁ってみたものの、正確性を担保するものではなく、ただ、今の自分の理解と気持ちの整理のためのテキストである。

PCR検査について

偽陰性・偽陽性の問題はあるが、現状の正確な感染者数(≒次の感染者予備軍)を把握するのに必要では。
単純に絶対数が少なすぎる。人口1000人あたりのPCR検査数が、36ヵ国で平均で23.1だが、日本は35位で1.8。メキシコが0.4で最下位。アメリカが16.4、韓国が11.7、イギリスが9.9、フランスが9.1。
新型コロナ、日本のPCR検査数はOECD加盟国36カ国中35位。世界と比べても際立つ少なさ

2月末から拡大する方針で、4月6日にも2万件と具体的な数字をだしている。

首相は2月29日の記者会見で「医者が必要と考える場合にはすべての患者がPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保する」と断言した。4月6日には「1日2万件」の検査能力を目標に掲げた。  しかし、そうした目標には達していない。厚生労働省は今月25日時点で、1日に約1万5600件の検査ができるとしている。実際の検査件数は今月中旬以降の平日だと約7千~約9千件。

PCR拡充、2カ月前と変わらぬ答弁 首相に与党も苦言

それで状況がどう変わったかといえば、4月30日に加藤厚労相のこの発言である。
PCR検査、2万件検査するとは言ってない=加藤厚労相

呆れるしかない。

医療関係者や宅配、スーパーなどインフラ関係など、テレワークで自宅待機ができる人ばかりではないので、特にそういう業界の人は早めに検査をし、隔離なり対処をしなければ、感染者数が減らないだろう。
自宅に居ればいいとはいえ、家庭のある方なら、感染発覚後は家族からの隔離が必要だし、重症化しやすい人をより速くピックアップする効果もあるだろう。付随して、特に小さい子供がいるご家庭内で夫婦が感染したら、祖母・祖父に面倒を見てもらうわけにもいかないだろうし、誰が面倒をみるのかという問題が出てくる。

休校要請・教育について

「寝耳に水」という言葉が相応しい。法的根拠や根回しとかもまったくナシだし、小・中・高校生のコロナの感染者数が上がってるなどの数字もでなかった。
安倍首相:全国の小中高校に臨時休校要請へ、3月2日から – Bloomberg

僕の少ない情報収集範囲では、「違憲状態である」という指摘がないのも恐ろしい。小中学校は義務教育=憲法に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」と明記されているが、にも関わらず、満足に代替手段ができない上に、科学的なエビデンスがないままに休校要請がなされ、全国で99%の公立小中高が休校したのは、絶句する。
休校99%の公立小中高など決定 20市町村は授業続行

左右のイデオロギー以前に、近代国家の一国民として、法律を犯さないのと同様の意味で、憲法はまず遵守すべきものだと考えている。子供はいないが、義務教育がないがしろにされている現状は、俄には信じがたい。
早急に遠隔教育の補助を拡大すべきだろう。
だが、政府が代理店になる必要はない。

ただ、毎月発生する通信費は含まず、国や自治体、家庭の負担の在り方をさらに詰める。

小中学生家庭にモバイルルーター 低所得対象に貸与、全世帯の2割

なお、3月分の授業に関しては、

問6 臨時休業に伴い、今年度中に実施できる授業時数が標準授業時数を下回ってしまうことが見込まれるが、どうすればよいか。 ○ 新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業を行った場合において、学校教育法施行規則等に定める標準授業時数を下回った場合においても、下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するものとはされません。

新型コロナウイルス感染症対策のための小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業に関するQ&Aの送付について(3月4日時点)

とのことだ。まあ3月はわりと消化試合的な部分はあるにしても、融通がきくというか、いい加減というか。。。

付随して、保護者への助成金が3月2日の段階では自営業が対象外だったが、
保護者休業の助成金、1日8330円上限 自営は対象外

3日には、安倍首相が参院予算委員会で「フリーランスを含む個人事業主の声を直接うかがう仕組みを作り、しっかりと対策を講じる」と答弁することになる。
フリーランスや自営業者にも休業補償…政府が支援対象拡大へ
「ネットの声が届いているのでは?」という感触が出て来たのは、おそらくこれが最初なのではないか。「あれ?」と思った。
これは一律給付金へと繋がる。

テレワーク支援について

いちおうこういうのもあるが、
テレワークに関する助成、補助|日本テレワーク協会
そもそも緊急事態宣言は、個人もだが、それ以上に会社の経営者へのメッセージとしての効果を期待していた。
いくら個人がStayHomeと言っても、会社が出社しろといったら、それを拒否できる人は少ないだろう。経営者側からいえば、テレワークの導入にコストも掛かるだろうから、その辺りの補助をしっかりして欲しいと思っていたのだが、さほど話題にならないのは、テレワークが可能な業種では、十分対応できているからだろうか。
とはいえ、休校要請の影響で子供が一日中家にいるようになり、食費やその他費用、またテレワークの推奨により、家庭の負担は増えていると思われる。「最近の若者はキーボードよりスマホで入力する方が速い」とか、「パソコンが使えない」という話ももはや定着していると思う。自宅に固定ネット回線がないというのも、ぼちぼち知られてきているだろう。そういった中で、増えた食費の補填や、webカメラ付きのパソコンを買ったりするのに、一律10万円給付は意味がある。

一律給付金について

3月18日、与党から現金給付の話が出る。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府・与党は緊急経済対策の一環として、現金を給付するなどの直接的な家計支援を実施する方向で検討に入った。対象や金額などについては今後調整を進める。

コロナ対策で現金給付、政府が検討 低所得者に限定案も

この頃は、ぼんやりと「確実に金が回るように、期限付きの商品券の方がいいのでは?」と思っていた。経済支援ではなく生活支援であるという観点が抜け落ちていた。商品券では、家賃は払えない。

なお、国民民主党の玉木雄一郎は3月13日の時点で、「ただし貯蓄に回らないよう期限付きの金券か電子マネーで給付する」とは断りを入れているが、10万円の給付案を出している。
https://twitter.com/tamakiyuichiro/status/1238215495557320704
消費税減税より一刻も早く「国民一人あたり10万円給付」を実施すべき理由

3月下旬はTwitterでも、給付に関するハッシュタグが盛り上がっていた。

3月26日に「お肉券」の報道が出る。
牛肉振興へ「お肉券」構想 経済対策、自民で浮上

しかし3月30日には頓挫。
「お肉券」「お魚券」構想頓挫 自民の経済提言に入らず
この頃からだろうか、確実にネットの声が実際に政治を変えてきている感触が強くなる(もちろんネットだけの影響ではないだろうが)。

ネットの声を受けてか、野党は4月2日には一律10万円の現金給付を提案。
国民1人10万円以上の現金給付 野党が緊急対策を提案 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

4月3日には、「生活に困難を来す恐れのある家庭を対象に、生計維持のための給付水準を検討した」結果として30万の給付を発表。
現金給付、1世帯30万円 政府方針 減収申告、所得制限なし:経済(TOKYO Web)

6日に対象者が決定。しかし、対象者はごく一部に限られており、そもそもコロナに関係なく行政が救済すべきレベルで、あまりにもハードルが高いのだが、それでも1000万世帯が該当するというのは、貧困層の拡大を痛感させられる。

給付対象は、世帯主の2月以降の月間収入が1月以前と比べて減少し、年収換算で個人住民税非課税の水準まで落ち込む場合。東京23区内に住む会社員で単身世帯は年収100万円以下、専業主婦と子ども2人の4人世帯では年収約255万円以下だと住民税が非課税となる。  一方、住民税を課される収入があっても、急激な客足の減少などで月収が半減した人は給付される。収入(年収換算)が住民税非課税水準の2倍以下であることが条件。 30万円給付、5月にも開始 住民税非課税、収入半減が対象

結局、16日に所得制限なしの10万円の一律給付が決まった。
新型コロナ:国民一律10万円給付へ 政府・与党「30万円」は撤回

が、4月17日に麻生の「手あげたら」発言がある。
麻生氏「手あげたら10万円」 給付は自己申告との見方

この人は余計なことを言わずには言われないのだろうか。
税金はお前の金じゃない。

4月21日には、広島県知事が「(県職員へ)給付される10万円を活用することを含め、聖域なく検討していきたい」と発言し、物議を醸す。翌日撤回。
「職員の10万円活用」発言、事実上撤回 広島知事

10万円については、埼玉県和光市の松本市長が「#10万円もらう政治家」のハッシュタグを作り、地元に落とすことを明言。
「#10万円もらう政治家」ハッシュタグで宣言相次ぐ。返上の“美学”やめて「市内できっちり消費します」

税金は「僕らのお金」である。飲食店や様々な店舗が未曾有の危機に陥るなか、経済を廻すために、「僕のお金」としてもらい、「僕らのお金」に戻す=経済を廻すのが最適だろう。

受け取る・受け取らないで様々な議論があったが、下品な元大阪府知事については言及したくもない。

アベノマスクについて

お肉券が頓挫した直後の4月1日に、1世帯に2枚の布マスクを配布するというエイプリルフールとしか思えない発表が。
安倍首相が全世帯への「布マスク2枚」配布を表明。「エイプリルフール?」の声も

4月4日には経済産業省の個人から言い訳が。

「経済産業省で未来の教室、EdTechのリーダーをされてる浅野大介氏が政府マスクチームで関与したということで、自身のFacebookにて「マスク2枚の真相」をシェアしてほしい話として発信してます。

30日分の使い捨てマスクならまだ評価したのだが。いくら洗えるとはいえ、1世帯2枚というのは国民をバカにしているとしか思えない。それならワクチンの開発なり、医療従事者への支援に使って欲しい。

当初はマスクだけで200億、その後466億円と言われたが、90億で済む事となった。
マスク調達は予算額より少ない90億円に収まる=菅官房長官 – ロイター

また、いざ配布となると、衝撃的な画像が公開された。
虫混入、カビ付着…全戸配布用の布マスクでも不良品 政府、公表せず

大分では「4300枚のうち2割近くのおよそ80 0枚が不良品」という恐ろしい不良品率を叩きだした。
まともに検品しているのだろうか。
妊婦用“アベノマスク”県内でも約2割が不良品|TOSニュース|TOSテレビ大分

なお、うちは世田谷区だが、4月17日から配布開始。うちにきたのは25日だった。
布マスク、東京都内で配達開始…感染者の多い世田谷区と港区から
Amazonやメルカリで購入しても、ここまで遅くなることはないんだが、大丈夫なんだろうか。

緊急事態宣言について

2月20日、厚労省から「イベントなどの一律自粛要請はしない」ものの、「主催者に開催の必要性を改めて検討していただきたい」という実質的な自粛要請。だいぶ雲行きが怪しくなる。
加藤厚労相「現時点でイベントなどの一律自粛要請はしない」

2月26日、安倍首相から2週間の自粛要請。
新型肺炎 首相、2週間自粛要請

イベントの自粛に関するメッセージは下記にまとまっている。
イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ

3月13日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が改正、首相による緊急事態宣言が可能になる。
「緊急事態宣言」を可能にする法案が成立。発令された時の生活への影響は?

休校要請から二週間。濫用の危うさを感じつつも、法律改正後、即、緊急事態宣言が出されるのかと思っていた。

3月24日、オリンピックが延期に。
東京五輪延期 決定に4週間はかからなかった

4月5日、「緊急事態宣言の準備入り表明見通し」
6日にも緊急事態宣言の準備入り表明見通し

4月6日、「準備入り表明へ」
“近く緊急事態宣言”の方針 きょう準備入り表明へ

と謎の段階を踏んで、4月7日、緊急事態宣言、発令。一部報道に半年間という誤報もあったが、たった1ヶ月。
安倍首相が緊急事態宣言 7都府県対象 効力5月6日まで

5月6日を目前にして、5月4日、緊急事態宣言が5月31日まで延長、基本的対処方針の発表。
安倍首相「可能な場合 今月31日待たずに宣言解除」 新型コロナ

専門家会議から、「新しい生活様式」が提示される。
「新しい生活様式」とは 専門家会議が具体例示す

反発もあるようだが、現実的にはしばらくはこれを遵守するしかないだろう。

医療崩壊について

通常の業務に加えてコロナ対応が必要なわけだが、感染症なのでその負担は重い。
都道府県毎に入院可能な数と入院者数を出して、どれだけオーバーしてるかでランク付けすれば、都道府県毎の危機感がまた違ってきそう。
もう少し細かくみれば、
・検査受け入れ態勢
・マスクや防護服などの消耗品
・入院者用ベッド
・ECMOなど医療機器
・人手
が必要だが、たとえば1週間あたりの検査希望者・患者増加数から見て、その増加数が続いてあと何ヶ月もつか、くらいで区分ができそう。

0:通常業務と並行して対応できる範囲
1:患者数が増えると対応できなくなる恐れがある
2:コロナ対応で、通常業務に支障が出てくる
3:備品や人材などのリソースが不足して、代用品などが必要になる
4:リソースに対して患者数が多すぎ、コロナ対応も満足にできなくなる
5:医師がいなくなり、患者を放置するしかなくなる(完全崩壊)

だとすれば、現状は3〜4あたりが増えてきている印象。
5は医者自身がコロナになって入院せざるをえなくなったり、辞めたりで現場を監督できる人がいなくなる状態。

現状でも医師からの要望があっても、検査が断られる状態である。
PCR検査「全然受けられない人」を続出させる闇

マスクなども足りておらず、ベッドもホテルを借り上げなどしており、人手も足りておらず、大学院生もすでに狩り出されている。
「無給医」も新型コロナ患者治療の前線に 医師不足のため

医療崩壊というと、どうにも言葉が強いが、実際問題、あちこちで医療崩壊が起きているとしか思えない。

その他、最悪、起きるであろうこと

以下は「最悪を想定していれば、そうならなかった時に安堵する」ための、ただの憶測だ。

世の中

・美術館が潰れて、国内の美術品が金のある国に流れる。
・ 映画館はほぼ全滅。
・古本屋もほぼ全滅。本が焼却される。
・飲食店も軒並み潰れる。
・ホテルも一通り潰れる。
・観光名所もメンテができなくなり、廃墟化する。
・ディズニーランドが潰れる。
・JR北海道破綻。吸収される。
・新幹線の一部が廃線。
・株価1万円切る。
・ライブハウス壊滅。新人ミュージシャンがしばらく出なくなる。
・病院が潰れる。退職者続出で立ち行かなくなる。
・最小限の葬儀ばかりになって、葬儀屋が潰れる。
・野球、Jリーグで何チームか潰れる。
・民放で何処か局が潰れる。
・大災害が起きてもボランティアが出なくなり、放置される。
・スラム街ができる。
・一部の食品などが配給制になる。
・テレビで新しい番組が中断したまま終わる。ニュース以外は再放送ばかりになる。新番組がなくなる。

プライベート

・仕事がなくなる。廃業せざるをえなくなる。
・友人が金を借りに来るのはまだいい方で、詐欺を仕掛けてくる。
・友人がコロナで死ぬ。
・自分がコロナになる。最悪、死ぬ。

TLでのコロナへの意識

緊急事態宣言以後、どれくらいでコロナが収束するかという意識調査を見たことがなかったので、4月23日にTwitterでアンケートをとってみた。どれくらいで、日本でコロナが収束するかという問いに対して、67%が「2、3年はかかる」と答えてくれた。

腹をくくってる人が多いのか、意外と長期戦で考えている人が多い。

また、5月1日に緊急事態宣言自体が、どんな目安で解除されるかも訊いてみた。

こちらも「30人くらい」が12%、10人以下が合計すると88%と、なかなかシビアに考えている人が多かった。


昨日「新しい生活様式」なるものが発表されたが、覚悟を決めて、新しい日常に対応するしかないのだろう。頭ではわかっているが、まだどこか、「以前の生活」への思いが捨てられない。

平成が「失われた10年」からだらだらと「失われた30年」になったように、コロナ禍も「失われた1ヶ月」が5月末には「失われた3ヶ月」になって、政治的・対策的にはだらだらと、しかし経済的には急速に多くの資産が失われていくんだろう。

せいぜい最悪を考えて、それに備えて行動していくしかないのか。

その他の記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)