口うるさい面倒なおっさんフリーランスがこの先生きのこるには

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もはや「この先生きのこるには」というネタ自体に加齢臭を感じなくもないんだけど。
「おっさんフリーランスがこの先生きのこるには」と言っても、スキルの話ではない。コミュニケーションの話だ。

27の時に、「30までにダメだったら社会復帰すればいいや」と思って始めたものの、気が付いたらフリーランス9年目。
どちらかといえば童顔のため、外見的には若くは見られるが、36歳、おっさんと称される年である。

気がついたら、おっさんフリーランスになっていた。しかも口うるさい面倒なタイプのおっさんフリーランスである。
どうしよう><

ダメなおっさんフリーランスあるある

僕自身、前職はディレクターをしていたので、外注先のフリーランスのデザイナーと一緒にお仕事をさせて頂くことがあったが、クオリティにしても相性にしても、当たり外れはどうしてもある。
当時僕はまだ二十代中盤なので、当然ながら年上の方が多かったが、年下の僕にも常に敬語で、物腰柔らかな方もいれば、ガハハ系な、いかにもおっさんおっさんなフリーランスの方もいた。残念ながら後者はあまりデザインの出来はよろしくなかった。また妙にお節介というか気を利かせてくれてるんだろうが、空回りしてる部分もあった。

別のプロジェクトだったので直接は関わってないが、打ち合わせ中にお客さんとケンカしだす外注のエンジニアさんもいたと聞く。たしかにその人の場合、普段は愛嬌はあるものの我が強い感じはあって、技術者としても高スキルな人だったそうなので、プライドも高かったと思われるし、「できないことはできない」とはっきり言いそうなタイプではある。

そして今、僕もわりとあれこれ口うるさいタイプのフリーランスのおっさんになってしまった。

末端のおっさんフリーランスがディレクションし出す訳

単純に資金繰りの問題がある。
代理店案件で、前金で半額は頂いたものの、エンドクライアントが用意すべき資料が数ヶ月待ってもまったくこず(こちらでは作れないシロモノ)、代理店もその辺をしっかり仕切らないので、しょうがないからこちらから幾度となく締め切りを設けたが、その度に破られるので、「もうそのエンドクライアントの案件は請けません」とお断りしたこともある。
なんとか納品できたからよかったが、現実的な話、先延ばしされればデザインなり仕様なりがひっくり返るリスクがあるし、何より金が入らない。代理店の担当者は会社員だから給料が保証されてるが、泡沫フリーランスとしては、納品が延びれば金が入らない。納品できないのは死活問題なのだ。

また、サイトをよりよくするための提案をしている場合もある。
先日もコーディングの依頼なのに、「この言い回しはこうした方がいいんじゃないか」などと言い出したり(ありがたいことに通ったが)、大学の頃は文芸サークルにいたせいもあり、文章やら言い回しは気にするタチなので、その辺も口出ししたくなる。
そのサイト自体のターゲットやゴールを踏まえて、「今の形が適切なのか」というのは、コーダーの立場であっても気になってしまう。単純にディレクター出身という以上に仕切りたがりな性分なので、ディレクション的なことにも口を出したりする。

二、三度コーディングをうちから法人のコーディング会社に出した事があるが、よしなにやってくれるが、それ以上でもそれ以下でもなかった。それはそれで当然なのだ。だからこそ、フリーランスとしては、付加価値をつけたいというのがある。
うちよか安い値段でコーディングしてくれる会社やフリーの人は、いくらでもいるだろう。だが、うちは提案ができる。だからこの値段でやっている。それを含めて、僕自身と技術を買ってもらえると、フリーランスとして最高である。

ゴルゴ13みたいにサクッと終わらせてみたいよね(読んだことないけど)

スマートなフリーランスを目指したくもある。
細かいことも聞かず、うるさいことも言わず、言われたことをサラッとやって、サクッと納品。はい、おしまい。
それでいいじゃないか。
「ほい、これ」「おう」で通じる、職人みたいなフリーランス。
カッコいい。ちょおデキるフリーランスっぽい。
客:「依頼だ、いつまでにやってくれ」
俺:「うむ」
(作業して、メールすさー)
客:「よし、これで納品だ。ありがとう」
俺:「うむ、報酬はいつもの口座に」
ゴルゴっぽい!読んだことないけど!!!

だが、そんなの理想だ。ファンタジーだ。
現実は泥臭い。
そこに至るまでにどんだけコミュニケーションをとればいいか。
あまり良い例ではないかもしれないが、昭和の親父が「おーい」と言ってお茶が出てくるのは、それまでの夫婦のやりとりの積み重ねがあって、「このタイミングの『おーい』ならお茶だな」という妻の経験則による判断がある。
定期契約してるような慣れたクライアントなら、「よしなに」「ほいな」でいける部分もあるが、そこまでなるのにはそれなりに時間がかかる。

コーディングひとつにしても、デザインデータが完璧とは限らない。1pxのズレをこちらで直しておいたほうがいい場合もあるだろうし、そのページではよくても、サイト全体としてみると整合性が保てない場合もある。実装に工数がかかりすぎ、別途見積もりが必要な場合もある。「ここはどうしますか?」と仕様を確認しなければいけない場合もある。

ただの外注先ではなく、パートナー、チームとして仕事をしたい

何よりただの外注先としてではなく、パートナー=共同制作者として、エンドクライアント・エンドユーザーにとってよいものを納品したい。校正費用などは頂いてないが、誤字に気がつけば指摘すべきだと思うし、納期が決まってるのに資料が揃わなければ、こちらからもつっつくべきだと思う(でないと最後に徹夜をするのは僕だしな!(´;ω;`) )。他にもwebデザイン的におかしいところがあれば、どんどん口出しすべき(代案を出した方がいい)だと思ってる。

おっさんフリーランスは経験が豊富だ。豊富なはずなのだ。30中盤ともなれば、コーディング案件なら、デザイナーの方が年下の可能性の方が高い。デザイナー側がわからなくて、こちらがリードした方がいいこともあるだろう。そういった経験値も含めて、僕は自分を買ってもらってると(勝手に)思っている。たとえ単発のコーディング案件だろうと、自分の担当範囲だけでなく、全体を見渡すディレクション的な目線は、常に意識しているようにしている。
若いフリーランスとの差別化は、そこにあるんじゃないだろうか。

というか、コーディングにしろWP構築にしろ、よっぽどできるディレクターがいないと、最後のしわ寄せって実際にコードを書いてる人=僕にくるわけで、僕から「ここはつじつまがあわない」「そこはああした方がいい」とつっつかないと、その案件は納品までこぎ着けない。傲慢な言い方になるかもしれないが、基本的にお客さん(制作会社のディレクター)はコーディングやWP構築の知識がないからうちに頼んでるわけで、実装してみたら穴が出ててくるのも当然である。そのフォローをしっかりしなければ、納品できない。これは別にフリーランスに限らず、下流で実際にコードを書いてる人は常にそういう立ち位置にいる(下流・上流ていいかたは好きではないが)。

相手の立場も考えつつ、進めていこう

3褒めて1叱るだか、数は忘れたが、提案や指摘の仕方も気をつけないと、相手のプライドを傷つけかねない。特に僕は正論で全方位的に相手をぶん殴る傾向があるので、逃げ道はきちんと作っておかないといけないとは、ちらっと思う。よく追い詰められて逃げ場がなくなると、逆ギレされるとは聞く。窮鼠猫を噛む状態で、孫子・九変篇にも相手を逃げ場のない所に追い込んではならないというのはあるそうで、まさしくこれだ。(孫子とか持ってくる所がまたおっさんくさいね!!)

モノはいいようで「なんで資料揃わねぇんだよクソが!!!」などと言ってたら、誰だって気分を害するわけで(んな言い方はさすがにしないが)、物腰柔らかくうまいこと進めていきたいものである。

とツイッターで言ったら、ガミガミ言った当のクライアントに「おまえが言うなwww」と爆笑されたので(一部内容を解釈・変更しています)、今後善処いたします(‘・ω・`)

今後とも、おばけデザイン事務所をよろしくお願い申し上げます。

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