WordPress にログインしたとき、最初に表示される「ダッシュボード」。
そのままだと、
- クイックドラフト
- WordPress ニュース
- サイトヘルス
- 概要(At a Glance)
- 最近のコメント
- 最近の下書き
- アクティビティ
- プラグイン情報(古いWP)
など、いろいろなウィジェットが並びます。
ただ、クライアント用サイトや、自分専用の運用サイトでは、
こんなに要らない。もっとシンプルにしてほしい。
というケースが多いと思います。
この記事では、ダッシュボードのウィジェットを整理して「必要な情報だけ」にする方法を、初心者向けにまとめます。
前提:どこに書くコードなのか
すべて テーマの functions.php(できれば子テーマ側) に書く想定です。
- 例:
wp-content/themes/your-theme/functions.php - 親テーマをアップデートしても消えないように、子テーマの functions.php に追加するのが理想です。
ダッシュボードウィジェットを消す基本パターン
WordPress のダッシュボードは、それぞれのウィジェットが
add_meta_box( 'ID', 'タイトル', 'コールバック', 'dashboard', 'normal', 'high' );
のような形で登録されています。
それをまとめて消すのが、remove_meta_box() です。
remove_meta_box( $id, $screen, $context );
$id…… ウィジェットのID(例:dashboard_quick_press)$screen……dashboard固定$context……normalorside
そして、これを wp_dashboard_setup アクションの中で実行します。
1. クイックドラフトウィジェットを非表示
「クイックドラフト」は、ダッシュボードから直接下書きを作成できるウィジェットです。
使わないなら、消してしまったほうが視界がすっきりします。
// クイックドラフトウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_quick_press', 'dashboard', 'side' );
} );
dashboard_quick_pressが クイックドラフトのIDです。- 表示位置がサイドカラムなので、
'side'を指定します。
2. WordPress ニュースウィジェットを非表示
WordPress.org からのお知らせやニュースが出るウィジェットです。
クライアントサイトでは、混乱のもとになることも多いので消すことが多いです。
// WordPress ニュースウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_primary', 'dashboard', 'side' );
} );
dashboard_primaryが ニュースウィジェットのIDです。
3. サイトヘルスウィジェットを非表示
「サイトヘルスステータス」は、PHPバージョンやREST APIの警告など、
技術的な情報を出してくれるウィジェットですが、
- クライアントが見て不安になる
- 警告の意味を説明しきれない
といった理由で、あえて隠すこともあります。
// サイトヘルスウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_site_health', 'dashboard', 'normal' );
} );
4. アクティビティウィジェットを非表示
最近の投稿・コメントなどを一覧で見せてくれるウィジェットです。
シンプルにしたい場合、これも消してしまって構いません。
// アクティビティウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_activity', 'dashboard', 'normal' );
} );
5. 概況(At a Glance)ウィジェットを非表示
投稿数・固定ページ数・コメント数などの概要を見せてくれるウィジェットです。
古い WordPress と新しい WordPress でIDが違うため、両方指定しています。
// 概況(At a Glance)ウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_right_now', 'dashboard', 'normal' ); // 古いWP
remove_meta_box( 'dashboard_at_a_glance', 'dashboard', 'normal' ); // 新しいWP
} );
6. 最近のコメント・最近の下書きを非表示
コメントや下書きが多いサイトでは便利ですが、
更新を頻繁にしないコーポレートサイトなどでは、不要なことも多いです。
// 最近のコメントウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_recent_comments', 'dashboard', 'normal' );
} );
// 最近の下書きウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_recent_drafts', 'dashboard', 'side' );
} );
7. プラグイン情報ウィジェットを非表示(古いWP)
古めの WordPress で表示される「プラグイン情報」ウィジェットです。
最近のバージョンだとそもそも出ていないことも多いですが、念のため消しておきたい場合。
// プラグイン情報ウィジェットを非表示
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
remove_meta_box( 'dashboard_plugins', 'dashboard', 'normal' );
} );
8. まとめてスッキリさせる例
個々に書いてもいいのですが、1つの wp_dashboard_setup フック内でまとめると見通しがよくなります。
// ダッシュボードウィジェットを整理する
add_action( 'wp_dashboard_setup', function () {
// 概要系
remove_meta_box( 'dashboard_right_now', 'dashboard', 'normal' ); // 旧:概要
remove_meta_box( 'dashboard_at_a_glance', 'dashboard', 'normal' ); // 新:概要/概況
// アクティビティ
remove_meta_box( 'dashboard_activity', 'dashboard', 'normal' );
// サイトヘルス
remove_meta_box( 'dashboard_site_health', 'dashboard', 'normal' );
// 最近のコメント・下書き
remove_meta_box( 'dashboard_recent_comments', 'dashboard', 'normal' );
remove_meta_box( 'dashboard_recent_drafts', 'dashboard', 'side' );
// クイックドラフト
remove_meta_box( 'dashboard_quick_press', 'dashboard', 'side' );
// WordPress ニュース
remove_meta_box( 'dashboard_primary', 'dashboard', 'side' );
// プラグイン情報(古いWP用)
remove_meta_box( 'dashboard_plugins', 'dashboard', 'normal' );
} );
このコードを functions.php に追加すると、
- ログイン直後の画面が かなりシンプル になります。
- クライアントにとっても、「何を触ればいいのか」が分かりやすくなります。
9. 初心者向けの注意点
9-1. 消しすぎると「情報ゼロ」になりがち
なんでもかんでも消してしまうと、
- ログインしても何も表示されない
- 「壊れているのでは?」と不安にさせる
という問題もあります。
- 「概要(at a glance)だけは残す」
- 「サイトヘルスだけは残しておいて、メンテ担当だけ見る」
など、サイトの運用担当に合わせて調整するのが現実的です。
9-2. functions.php でエラーを出した時のリスク
functions.php に書き間違いがあると、
管理画面が真っ白になりログインできなくなることがあります。
- FTP やサーバーのファイルマネージャーで
functions.phpを修正できる環境を用意しておく - 変更前に必ずバックアップをとる
などの最低限の対策は必須です。
10. まとめ
| やったこと | 効果 |
|---|---|
remove_meta_box() を使って各ウィジェットを削除 | ダッシュボードをシンプルに |
wp_dashboard_setup フックでまとめて処理 | コードの見通しが良く、管理しやすい |
| クライアントに不要な情報を隠す | 誤操作や不要な不安を減らせる |
管理画面は、「何ができるか」よりも「何をさせないか」も大事な設計要素です。
ダッシュボードの整理は、その第一歩として取り組みやすいカスタマイズだと思います。
