何かを作る人なら受け取るものがある映画『WE ARE X』。


先日、『WE ARE X』を観てきた。レビューにもならんのだけど、感想を書いてみる。

X JAPANについて、わざわざ紹介するまでもないだろう。
ビジュアル系(以下V系)の元祖にして、解散・メンバーの死、ボーカルの洗脳を経ての復活。アラフォーの人なら、彼らの音楽が好きかどうかは別として、リアルタイムで芸能ゴシップとしては小耳には挟んでいるはずだ。昨年のシン・ゴジラと共演した紅白もだが、世間一般でも「YOSHIKIのバンド」「hideがいたバンド(公式としては今もメンバーとして「在籍」している)」という認識くらいはあるだろう。

幸運なことに解散前、95年12月の東京ドームライブへ行った。中学時代の友人が他の友人と行くはずだったのが、風邪でダウンしたそうで、僕が誘われてたまたま行くことになった。アルバムは1枚も聴いたことがなかったのに、知っている曲が複数あったのに驚いたし、何よりHIDEのかっこよさには瞠目した。アリーナ席(!)とはいえ、さほど大きく見えるわけではないのだが、本当にオーラがあるかのように輝いて見えた。

90年代中盤、高校の時に黒夢やラルク、D’ERLANGERなどを好きになり、V系にハマった身としては、解散には衝撃を受けたし、hideの葬式にも行った。が、好きかと言われると非常に難しい。X JAPANは「好きなバンド」というのには畏れ多く、尊敬しているバンドという方がニュアンスとしては近い。

昨年の3月11日に出るはずだった復活後第一弾のオリジナルアルバムも、PATAの入院により延期となり、未だ発売日が決定していないが、この映画が2016年1月にサンダンス映画祭で上映され、2017年3月3日にようやく日本でも公開の運びとなった。まあこれは行くしかないでしょう、と行ったのだが。

最初に書いたように、言ってしまえば、おおよそ「あらすじ」は知っている。知っているどころか、リアルタイムで見聞きしてきた。復活直後のライブにも行っている。何より、新譜を待ちわびている。ミュージシャンは良くも悪くも、「雲の上の人」である。が、ここまでX JAPANのメンバーを、「人間」として観たのは初めてだった。

ファンとしては古い貴重な映像が観られるし、様々な曲がフューチャーされているので観る甲斐があるのは言うまでもないが、純粋にドキュメンタリーとして、見応えがあった。

スキャンダルではなく、改めて実話として観ていくと、大変重く、突きつけられる映画なのだ。自分がやってる社員5人の会社で、さらに大きくなるチャンスの寸前に1人が離反したら。右腕が洗脳されたら。さらに死者まで出たら。

映画中、洗脳されている時期のToshIが「ミュージシャンになって大成功しても、そこに本当の幸せなんてなかった」というような発言をしているが、まさしくその通りだ。X JAPANはあまりにも多くの悲劇に彩られてしまっている。

綺麗な見た目に騙されて(?)しまうが、バンドメンバーはアラフィフである。特にYOSHIKIは満身創痍の中、それでも未だに走り続け、世界を手中に収めようとしている。ありきたりな言い方になってしまうが、極東のこの国に生まれたX JAPANというバンドが今もなお存在し、世界でファンを増やしつつ、そして新しいアルバムを出そうしているのは、YOSHIKIの執念による奇跡としか言いようがないだろう。

映画を見終わった後、改めてポスターを見ると、「挑戦は終わらない」というキャッチコピーだったが、まさしくその通りだった。YOSHIKIが死にもの狂いで連日ハードスケジュールをこなしている中、「一期は夢よ ただ狂へ」とはいうが、俺は何に挑戦しているのだろうと自問せざるをえなかった。

ファンじゃなくても、V系やロックミュージシャンという色眼鏡をはずせば、ひとつのプロジェクトを命がけで成功に導いていくYOSHIKIの執念をとらえたドキュメンタリーとして、観て損はない映画だ。何かを作っている人なら、受け取るものがあるだろう。

驚くべきことにBARKS音楽ニュースによると、

オリジナル・サウンドトラック「We Are X Soundtrack」は、3月10日付けで発表された英国の「BBC UK TOP40 ROCK ALBUM」で1位を獲得。快挙はこれだけにとどまらず、英国・Official Albums Chart Top 100では27位、Official Soundtrack Albums Chart Top 50では3位を獲得している。

という。確実に世界がX JAPANのニューアルバムを待っている。